2015年12月1日火曜日

水木しげるとトルコ行進曲「得体の知れないもの」が生み出す創造力

 

トペトロとの50年―ラバウル従軍後記 (中公文庫)


水木しげるといえば、南方で戦争中に(おそらくラバウルとかニューギニア?)、 現地の人たちと仲良くなって、そのあと、戦後になっても現地に住みたがったり、 南の島で妖怪にあったりという話が好きです。

まだ人間には理解できないいきものや、感覚を共有できた最後の時代の生き証人という気がするのです。

理解できない・得体のしれないものへの好奇心や、恐怖心は人間の想像力を刺激します。

たとえば、モーツアルトを始め同時代の作曲家が多く残した「トルコ行進曲」という作品があります。

これは おそろしい「異教徒のオスマントルコの軍隊」がヨーロッパに進撃してきた、 ことに好奇心を駆られてこぞって、「トルコ風」の音楽を書いたわけです。

(実際ウィーンやドイツにいた、彼らはオスマントルコの軍隊を見たわけじゃない、あくまでも想像で書いたわけです。)

水木しげるが妖怪ものを多く書いたことも結局は「得体の知れないもの」との出会いだっただろうし、 そういう「得体の知れないもの」との媒介になって作品を生み出した方じゃないかな〜と思うわけです。

得体の知れないもののすっかり少なくなってしまった現代、どうやって、次世代の創造力を飛躍させていくか、も現代の人間のひとつのトピックかなと思うところです。


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