トペトロとの50年―ラバウル従軍後記 (中公文庫)
水木しげるといえば、南方で戦争中に(おそらくラバウルとかニューギニア?)、
現地の人たちと仲良くなって、そのあと、戦後になっても現地に住みたがったり、
南の島で妖怪にあったりという話が好きです。
まだ人間には理解できないいきものや、感覚を共有できた最後の時代の生き証人という気がするのです。
理解できない・得体のしれないものへの好奇心や、恐怖心は人間の想像力を刺激します。
たとえば、モーツアルトを始め同時代の作曲家が多く残した「トルコ行進曲」という作品があります。
これは おそろしい「異教徒のオスマントルコの軍隊」がヨーロッパに進撃してきた、
ことに好奇心を駆られてこぞって、「トルコ風」の音楽を書いたわけです。
(実際ウィーンやドイツにいた、彼らはオスマントルコの軍隊を見たわけじゃない、あくまでも想像で書いたわけです。)
水木しげるが妖怪ものを多く書いたことも結局は「得体の知れないもの」との出会いだっただろうし、
そういう「得体の知れないもの」との媒介になって作品を生み出した方じゃないかな〜と思うわけです。
得体の知れないもののすっかり少なくなってしまった現代、どうやって、次世代の創造力を飛躍させていくか、も現代の人間のひとつのトピックかなと思うところです。
0 件のコメント:
コメントを投稿